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麻酔科医は手術室の内科医だ!       

みんなの麻酔科学

ISBN978-4-902496-51-2
定価:3850円(税込)、B6変形判、456頁、2色刷(一部フルカラー)
発売:2015年3月
著:稲田 英一(順天堂大学医学部、麻酔科学・ペインクリニック講座主任教授)

本書の特徴

  • 内科志望の研修医を主人公に、麻酔科ローテートを実践さながらにシミュレート。
  • 指導医とのやり取りを介して、「今さら聞けない初歩的な質問」も解決。
  • 患者説明・インフォームドコンセントから術後回診まで、さまざまな症例を通じて周術期管理を理解できます。
    サンプルページ(PDF書類)

序文より

  •  麻酔科における臨床研修は、選択必修科目となっており、1〜2か月の研修が行われるのが通常である。麻酔科研修は、将来麻酔科専門医を目指すものだけでなく、外科系診療科や、内科系診療科に進む医師にとっても、有用なものである。麻酔科研修で学ぶ気道の評価や気道管理、人工呼吸や酸素療法などの呼吸管理、血圧コントロールや不整脈治療などの循環管理、輸液・輸血などの体液管理などの全身管理は、プライマリケアと言えるものであり、どの診療科においても必要なものだからである。バイタルサインやモニターから得られる情報を理解、統合、判断し、治療に結びつけることも重要な要素である。技術的に見ても、バッグ−マスクによる用手換気、気管挿管、静脈路確保や動脈カテーテル挿入、腰椎穿刺など基本的な技術を学ぶことができる。これら基本的技術は、心肺蘇生においても重要なものである。
     1か月で学べることは、おそらく想像以上に多い。麻酔科の特徴は、新生児から超高齢者まで幅広く、また外科系診療科の手術全てに対応することである。高血圧、虚血性心疾患、不整脈、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、糖尿病、腎機能不全などの重大な合併症をもつ患者を術前回診において評価し、適切な術中、術後管理をする必要がある。内科的な基礎知識を周術期において応用する必要がある。手術に伴う急性痛に対して、区域麻酔や、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイドをどのように組み合わせて使用していくかなど鎮痛療法の基礎を学ぶこともできる。
     本書では、内科医志望の研修医を主人公に、二人のチューターが半月ずつみっちりとトレーニングをするという形式をとっている。初期研修医が担当するであろう症例を中心に設定をした。失敗談など含め、研修医が実際に体験するエピソードを多く取り上げている。
     臨床研修医のみなさんには、是非、楽しみながら学んでいただきたいと思っている。また、臨床研修医を指導する先生方には、問答形式の中に日常における教育のヒントを得ていただければと考えている。

contents

研修1日目

  • 【初日オリエンテーション】
    一般生活3か条と麻酔科研修3か条

  • 【一般生活3か条】
  • 1.自分の健康管理をしっかりとすること。
    2.患者さんや同僚、メディカルスタッフらとのコミュニケーションをよくすること。
    3.遅刻をしないこと。

  • 【麻酔科研修3か条】
  • 1.症例一例一例を大切にすること。
    2.自主的に麻酔・周術期管理計画を立てること。
    3.準備を怠りなくすること。

  • 【術前回診前】
    術前回診に行く前に
  • 1.申し込み書、診療録の確認をすること。
    2.必ず上級医師と相談すること。

  • 【術前面接】
    患者さんとの術前面接
  • 1.良い患者−医師関係を短時間で築け。そのためには気持ちの良い挨拶と自己紹介が大切。
    2.患者さん自身の言葉で語ってもらおう。
      Self Study Tips 01 気管支喘息の重症度評価
      Self Study Tips 02 気管支喘息のコントロール状態の評価
      Self Study Tips 03 気管支喘息の治療ステップ

  • 【インフォームドコンセント】
    麻酔のインフォームドコンセントを取得する
  • 1.わかりやすい簡単な言葉で説明せよ。
    2.麻酔法の短所と長所を詳しく説明せよ。
    3.患者さんの不安を取り除け。
    4.身体所見は手際よく、気道の評価をしっかり行え。
    5.「何か質問はありませんか?」と質問し、質問がないことを確認せよ。
      Self Study Tips 04 術前評価項目

  • 【自 習】
    麻酔薬とラリンジアルマスクの勉強
  • 1.麻酔薬の適応と麻酔薬の禁忌を知ろう。
    2.麻酔薬必要量は年齢、全身状態、併用薬で変化する。
    3.ラリンジアルマスクなどの声門上器具の適応と禁忌を理解しよう。
      Self Study Tips 05 吸入麻酔薬の体内への取り込み

    研修2日目

  • 【麻酔器の始業点検と薬物の準備】
    麻酔器と麻酔薬の準備
  • 1.麻酔器の始業点検は確実に実施せよ。
    2.薬物準備はダブルチェック。薬物名、濃度を記載せよ。

  • 【術前カンファレンス】
    石田教授の術前カンファレンス
  • 1.プレゼンテーションは簡潔に行え。
    2.重要度の高い問題点に時間をかけろ。
    3.プランB、プランCまで準備せよ。
    4.術前投与薬、中止薬について把握せよ。
    5.術後肺合併症発生率を減少させるためには少なくとも8週間は禁煙させよ。
      Self Study Tips 06 高血圧患者の術前評価
      Self Study Tips 07 喫煙と疾患との関係
      Self Study Tips 08 術後肺合併症発生率上昇に関与する因子

  • 【患者さん入室、麻酔導入】
    基本的モニタリング装着、静脈路確保、麻酔導入
  • 1.基本的モニタリングを装着し、バイタルサインを確認せよ。
    2.静脈路確保成功の第一歩は、よい静脈を見つけること。
    3.適切なサイズのラリンジアルマスクを選択せよ。
    4.ラリンジアルマスクの位置はカプノグラム、陽圧をかけたときの胸郭の動き、リークで判断せよ。
      Self Study Tips 09 酸素解離曲線(ODC)
  • WHOチェックリスト
  • 1.WHOのチェックリストを覚え、実行せよ。
    2.指示は復唱せよ。
    3.薬物投与量指示や実施時には単位をつけよ。
    4.麻薬は呼吸抑制作用を持つ。
      Self Study Tips 10 換気調節系
      Self Study Tips 11 ターニケット使用時の注意

  • 【麻酔維持】
    麻酔維持:酸素消費量と体内の酸素備蓄量
  • 1.体は常に酸素を必要とするが、酸素備蓄量は少ない。
    2.成人の安静時分時酸素消費量は2〜3mL/kgである。
      Self Study Tips 12 酸素に関する主な指標

  • 麻酔維持:術中血圧上昇の鑑別診断
  • 1.周術期血圧上昇の鑑別診断リストを作成せよ。
    2.ターニケット使用で血圧が上がり、解除で血圧低下が起こる。
    3.外科医の言葉を麻酔科医の言葉に翻訳して、理解、行動せよ。
       Self Study Tips 13 術中血圧上昇時のチェックリストと対応

  • 【手術終了、覚醒】
    麻酔からの覚醒と抜管
  • 1.揮発性麻酔薬のほとんどは呼気中に排泄される。
    2.術後鎮痛は術中から始めよ。
    3.覚醒したからといって安心するな。

  • 【明日の術前回診】
    婦人科腹腔鏡補助下手術、術前回診、IV-PCA
  • 1.術前の気道評価を怠ってはならない。
    2.経静脈患者管理鎮痛法(IV-PCA)は術後鎮痛法として有用である。
    3.IV-PCAを有効に利用するには、患者の理解が不可欠である。
       Self Study Tips 14 アレルギー歴評価における注意点
      Self Study Tips 15 術後悪心・嘔吐(PONV)の危険因子
      Self Study Tips 16 術後悪心・嘔吐のリスクスコアと対応アルゴリズム

  • 【自 習】
    二酸化炭素産生量
  • 1.二酸化炭素産生量は代謝率や気腹など外部からの二酸化炭素投与で変化する。
    2.動脈血二酸化炭素分圧は二酸化炭素産生量に比例し、肺胞換気量に反比例する。
      Self Study Tips 17 動脈血二酸化炭素分圧が上昇する要因

    研修3日目

  • 【術前準備】
    全静脈麻酔(TIVA)のための麻酔準備
  • 1.気道確保のための器具は念入りに準備、点検せよ。
    2.BISモニターは脳波を用いて鎮静度を評価する。
    3.レミフェンタニルを0.1〜1.0μg/kg/minで持続投与する。
    4.プロポフォールはTCIポンプを用いて投与する。

  • 【術前カンファレンス】
    腹腔鏡手術における注意点
  • 1.気腹に用いられた二酸化炭素は血中に吸収される。
    2.気腹と体位変換時には換気量の調整をすべし。

  • 【麻酔導入、気管挿管】
    麻酔導入、気管挿管
  • 1.静脈路確保は狙いを定めてから自信をもってやれ。
    2.針刺し事故を起こさないように注意せよ。
    3.三方活栓の使い方に慣れろ。
    4.気管挿管は嗅ぐ姿勢で行え。
    5.喉頭鏡ブレードはそっと力を入れずに進めろ。
    6.気管チューブの位置が確認できるまでは、気管挿管に成功したことにはならない。

  • 【気腹の開始】
    気腹の影響
  • 1.気腹時は換気量、酸素化、二酸化炭素排泄に注意せよ。
    2.ソーダライムは早めの交換が安全。
    Self Study Tips 18 ソーダライム
    Self Study Tips 19 周術期高二酸化炭素症の原因

  • 【抜 管】
    手術終了、覚醒、筋弛緩薬の拮抗、抜管
  • 1.術中に十分に効果部位オピオイド濃度を上げてからIV-PCAを開始せよ。
    2.吸気の加温・加湿には人工鼻が有用である。
    3.気管吸引は慎重に行え。
    4.筋弛緩の程度に応じてスガマデクスの投与量を調整せよ。

  • 【術後回診と術前回診】
    術後回診、肩関節手術の術前回診
  • 1.自分の麻酔を見直すために術後回診は有用である。
    2.術後回診で思わぬ麻酔合併症がみつかることがある。
      Self Study Tips 20 術後回診における注意点

  • 【自 習】
    デスフルラン
  • 1.デスフルランは麻酔維持にのみ用いられる。
    2.血液/ガス分配係数が小さく、覚醒は迅速である。
    3.用量依存性の血圧低下を起こす。
    4.急激な濃度上昇で血圧上昇、心拍数増加が起こる。
    5.用量依存性の呼吸抑制作用を持つ。
    6.体内でほとんど代謝されない(0.02%)。

    研修4日目

  • 術前カンファレンス、麻酔導入、気管カフ注入の意味と注意点
  • 1.手術部位によりモニターや静脈路の位置を工夫しよう。
    2.エアリークを防ぐためにカフに空気を注入する。
    3.カフへの空気の注入量が多いと、気管粘膜のびらん、浮腫、狭窄を起こす。
    4.体位変換により血圧が低下する。
      Self Study Tips 21 危険な低血圧
      Self Study Tips 22 周術期血圧低下の鑑別診断
  • 術中の低体温の予防、高体温
  • 1.術中は低体温になることが多い。
    2.麻酔は体温調節機構を障害する。
    3.低体温には多くの有害作用がある。
    4.低体温の予防は大切である。
    5.輸液・輸血の加温器、人工鼻、温風対流式ブランケットなどを活用せよ。
       Self Study Tips 23 術中の体温低下の原因
       Self Study Tips 24 低体温の悪影響
       Self Study Tips 25 周術期の高体温の原因

  • 【麻酔からの覚醒と麻酔後回復室】
    麻酔後回復室におけるシバリング
  • 1.手術が終了したからといって麻酔管理は終わらない。
    2.シバリングは患者にとって最も不快な周術期の体験である。
    3.シバリングの治療にペチジンは有効である。
  • 先輩からの教え
  • 1.適切な麻酔法はいくつもある。問題はそれを選択した理由だ。
    2.薬物投与は患者の反応、モニターを観察しながら行え。
    Self Study Tips 26 手術部位と麻酔法の選択の概略

  • 【術前回診】
    糖尿病と高血圧を合併した肥満患者の股関節全置換術
  • 1.ARBは手術前日に中止せよ。
    2.糖尿病患者では血糖値コントロールのほか、三大合併症の評価をせよ。
    3.経口血糖降下薬は手術前日に中止せよ。
    4.自己血貯血がある患者の輸血計画を立てておけ。
       Self Study Tips 27 糖尿病患者の術前評価のポイント
       Self Study Tips 28 硬膜外麻酔

  • 【自 習】
    肺血栓塞栓症のリスクと予防
  • 1.手術、患者要因を考慮して肺血栓塞栓症の予防を行え。
    2.抗凝固療法を実施している場合の硬膜外カテーテルの挿入と抜去に注意せよ。

    研修5日目

  • 【麻酔準備と術前カンファレンス】
    腰部硬膜外麻酔の実施位置、低血圧の治療
  • 1.硬膜外麻酔をするときは、手術術式から挿入部位を考慮せよ。
    2.術中と術後で局所麻酔薬を使い分けよ。
    3.局所麻酔薬中毒の予防と治療について理解せよ。
    4.硬膜外麻酔による低血圧への対処を理解せよ。
    5.側臥位の取り方のポイントを理解しよう。

  • 【硬膜外麻酔】
    硬膜外麻酔の実際
  • 1.硬膜外麻酔の成功の鍵は体位の取り方である。
    2.脊椎の構造をイメージし、椎間を選択せよ。
    3.抵抗消失法をマスターせよ。
    4.テストドーズを投与せよ。

  • 硬膜外麻酔後の全身麻酔の導入
  • 1.硬膜外麻酔後の全身麻酔では低血圧が起こりやすい。
    2.臓器血流量の自己調節能について理解せよ。
       Self Study Tips 29 臓器血流量の自己調節

  • 麻酔維持と麻酔からの覚醒
  • 1.輸血の方法について理解せよ。
    2.輸血用血液の加温は体温低下防止のために重要である。
    3.輸血のトリガーと、輸血の効果の予測法について理解せよ。
       Self Study Tips 30 自己血輸血の方法

    研修6、7日目

  • ウィークエンドはゆっくり休め!
  • 1.週末はゆっくり休んで気分転換をせよ。
    2.まとまった勉強は週末が一番。

    研修8日目

  • 【麻酔準備と術前カンファ】
    患者と手術のリスク層別化
  • 1.患者と手術のリスクを評価して、リスクを層別化せよ。
    2.心筋虚血発見に有効な心電図誘導を選択せよ。
    3.糖尿病患者では血糖値の測定を行え。

  • 【麻酔導入】
    眼球心臓反射
  • 1.眼球心臓反射が起きたら、直ちに外科医に伝えよ。
    2.眼球心臓反射の治療にはアトロピンを静注せよ。
       Self Study Tips 31 眼球心臓反射(oculocardiac reflex)

  • 【宿 題】
    徐脈の原因
  • 1.徐脈が起きたときの緊急性を判断せよ。
    2.徐脈の際の調律をチェックせよ。
    3.原因に応じた治療を行え。
       Self Study Tips 32 徐脈が起きた場合の対応

    研修9日目

  • 区域麻酔と抗凝固薬・抗血小板薬
  • 1.出血傾向がある患者では、神経軸麻酔は禁忌である。
    2.ワルファリンは術前4〜5日前に中止し、ヘパリン持続静注に切り替えよ。
    3.ラリンジアルマスクには適切な量の空気を注入せよ。

    研修10日目

  • 甲状腺疾患患者の術前評価
  • 1.甲状腺疾患患者では甲状腺機能が正常化されているかを確認せよ。
    2.大きな甲状腺腫瘍では気管偏位があり挿管が難しいことがあるので注意せよ。
    3.術後合併症として、反回神経麻痺、低カルシウム血症、出血などに注意せよ。
  • 甲状腺手術の麻酔と気道管理
  • 1.頭頸部手術では気道管理に細心の注意を払え。
    2.頭位により気管チューブの位置は変わる。

    研修11日目

  • 冠動脈疾患、冠動脈ステント挿入患者の経尿道的膀胱腫瘍切除術
  • 1.心房細動では、抗凝固と心拍数のコントロールに注意せよ。
    2.冠動脈ステント挿入患者では、ステントの種類、部位、挿入期間、抗血小板薬の管理に注意せよ。
    3.閉鎖神経ブロックの手技を身につけよう。
       Self Study Tips 33 冠動脈ステント(DESとBMS)挿入患者における抗血小板療法
       Self Study Tips 34 心房細動への対応
       Self Study Tips 35 閉鎖神経ブロック(obturator nerve block)

    研修12日目

  • 口腔外科症例、経鼻挿管
  • 1.経鼻挿管の適応や禁忌、合併症を理解しよう。
    2.経鼻挿管に必要な器具や薬物を覚えよう。

    研修13日目

  • 妊婦の生理学の学習
  • 1.妊婦では胎児を養うために酸素消費量、心拍出量、換気量が増加する。
    2.循環血液量が増加し、凝固因子活性が上昇する。
    3.仰臥位低血圧症候群に気を付けろ。

    研修14日目

  • 脊髄くも膜下麻酔の学習
  • 1.脊麻は単純だが、奥が深い。
    2.麻酔高のコントロールが重要。
    3.低血圧、徐脈に注意。
       Self Study Tips 36 脊髄くも膜下麻酔
       Self Study Tips 37 脊髄くも膜下麻酔の合併症
       Self Study Tips 38 帝王切開に対する神経軸麻酔法の差

    研修15日目

  • 予定帝王切開術、脊髄くも膜下麻酔
  • 1.脊麻には高比重ブピバカインとフェンタニル、モルヒネの混合液を用いる。
    2.仰臥位低血圧症候群を避けるために子宮の左方移動を行う。
    3.昇圧薬にはフェニレフリン、エフェドリンを投与する。

    研修16日目

  • 小児麻酔、仙骨硬膜外麻酔
  • 1.緩徐導入は、患者の反応を見ながら慎重に行え。
    2.仙骨硬膜外麻酔実施時は気道確保、バイタルサインの変化に注意せよ。
    3.仙骨裂孔を確実に探すことがキー。
    4.局所麻酔薬注入時は吸引試験を頻回に行え。

    研修17日目

  • 肥満と睡眠時無呼吸症候群
  • 1.肥満に伴う生理学的な変化を理解せよ。
    2.睡眠時無呼吸症候群では鎮静薬、オピオイド投与に注意せよ。
    3.肥満患者は仰臥位、全身麻酔では酸素化が悪化しやすい。
    4.全身麻酔でFRCが減少する。

    研修18日目

  • 脊椎手術、初めての腹臥位、動脈カテーテル挿入
  • 1.腹臥位をとる際には細部まで注意を払え。
    2.動脈カテーテルは一発で入れろ。
    3.出血に対しては速やかに対応せよ。

    研修19日目

  • 申し送り、緊急手術、イレウス、術中の尿量減少、酸素化の悪化
  • 1.Handoverは安全のために大切である。
    2.予想出血量、術前血算、体重、全身状態などに応じて輸血準備をせよ。
    3.フルストマックで全身麻酔が必要なら気道確保の容易さを考慮して、迅速導入あるいは意識下挿管するかを決めよ。
    4.PaO2はFIO2を考慮して判断せよ。
    5.ドパミンなどの投与量が計算できるようにせよ。
    6.抜管の基準を理解せよ。
       Self Study Tips 39 抜管の基準例

    研修20日目

  • カテコラミンの学習
  • 1.カテコラミンはそれぞれ異なるアドレナリン作用性受容体に作用する。
    2.カテコラミンは用量依存性に血行動態を変化させる。
    3.カテコラミンに対する反応は個人差が大きい。

    研修21日目

  • 片肺麻酔の学習
  • 1.術後せん妄は高齢者で起こりやすい。
    2.片肺麻酔の適応を理解しよう。
    3.低酸素性肺血管収縮の意義を理解しよう。
       Self Study Tips 40 片肺麻酔(一側肺換気)の適応

    研修22日目

  • 気胸手術、片肺麻酔、低酸素血症
  • 1.胸部硬膜外麻酔は正中法と傍正中法がある。
    2.一側肺換気の合併症とその対処法を覚えよう。
    3.低酸素性肺血管収縮を抑制する要因を把握しよう。
       Self Study Tips 41 低酸素性肺血管収縮(HPV)

    研修23日目

  • 小児緊急手術
  • 1.小児では気管チューブの太さをあらかじめ計算しておけ。
    2.小児では術前に体重あたりで計算しておけ。
    3.成人と体重では薬物の投与量が異なるので注意せよ。
       Self Study Tips 42 心室中隔欠損症(VSD)

    研修24日目

  • 内視鏡下腎臓摘出術、気道内圧上昇、高二酸化炭素症
  • 1.高血圧の服用薬には注意せよ。
    2.血糖値コントロールは緩めが安全。
    3.術前腎機能評価は大切である。
    4.End-tidal CO2の測定意義を理解せよ。

    研修25日目

  • 耳下腺腫瘍手術、顔面神経刺激
  • 1.ステロイド服用患者ではステロイドカバーを考慮せよ。
    2.術中の神経刺激を行う場合は筋弛緩薬投与を控えろ。
    3.神経筋モニタリングを使いこなせ。

    研修26日目

  • 肝疾患患者の麻酔
  • 1.肝機能は合成能、解毒能など多面的に評価せよ。
    2.肝血流について理解せよ。
    3.肝機能低下患者における注意点を理解せよ。
    4.肝機能低下患者では凝固障害、血小板減少症を伴うことがあるので輸血療法は重要である。
    5.薬物作用の遷延により覚醒遅延を起こすことがある。
    6.覚醒遅延の要因を理解せよ。

    研修27日目

  • 困難気道に対応するためのアルゴリズム
  • 1.困難気道に対応するためのアルゴリズムを理解せよ。

    研修28日目

  • 麻酔関連偶発症
  • 1.手術中の心停止の原因としては、危機的出血、気道管理不適切、麻酔薬の誤投与・過量投与、高位脊髄くも膜下麻酔が重要である。
    2.さまざまなタイプのショックに対応する必要がある。
       Self Study Tips 43 アナフィラキシーショックの治療

    研修29日目

  • 脳腫瘍手術、髄膜腫、頭蓋内圧の管理
  • 1.脳外科手術においては頭蓋内圧(ICP)の管理が大切である。
    2.脳潅流圧の理解なしには脳外科手術の管理はできない。

    研修30日目

  • 無痙攣通電療法(ECT)
  • 1.ECTでは、気道確保の準備が大切である。
    2.ECTでは、プロポフォールあるいはチオペンタール、スキサメトニウムを準備せよ。
    3.ECTでは頻脈や高血圧など大きな血行動態変化が起こりうる。