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食物アレルギーに携わる全ての方へ      

食物アレルギーのパラダイムシフト
【経口免疫寛容と経皮感作を踏まえた新戦略】

ISBN978-4-902496-53-6
定価:本体3,900円+税、B5判、152頁、2色
発売:2015年11月
編著:栗原 和幸 著(神奈川県立こども医療センター、アレルギー科)

本書の特徴

  • アレルギー専門医の方だけでなく、小児科医、皮膚科医の方必見の1冊です。
  • 各章の巻末にプライマリ・ケアの現場への提言、現場へのメッセージを入れました。
  • 食物アレルギーの歴史、現状、そして、これからの予防法まで、食物アレルギーの知識をアップデートすることができます。
    サンプルページ(PDF書類)

    書籍内で紹介している文献のリンク集です

序文より

  •  食物アレルギーの感作から発症にいたる機序について、今大きなパラダイムシフトが進行中である。
    社会的にも話題になっているのは、2015年2月、LEAPスタディの結果が報告され、アレルギー発症ハイリスク群において、ピーナッツを乳児期から食べ続けているとピーナッツアレルギーにはなりにくく、完全除去を続けているとピーナッツアレルギーになりやすい、という傾向が明確に示されたことがきっかけになっている。「食べないほうがいい」あるいは「食べるのを遅らせたほうがいい」というこれまでの常識を覆す結果だったからである。

     しかし、筆者にとっては、この結果は至って当たり前と感じられるものであり、そのことがやっとRCTの結果で明確に示されたという思いはあるが、驚く内容ではなかった。筆者は2008年に「食べれば、食物アレルギーは治る−True or wrong?」(日本小児アレルギー学会誌)の要旨として次のように書いた。「・・・食物アレルギーの発症に関して、経皮感作の可能性、経口免疫寛容による耐性誘導の確立などが解明され、根本的に病態の捕らえ方を刷新しなければならない状況が見えてきた。積極的にアレルゲンとなる食品を経口的に摂取することで食物アレルギーを予防、あるいは治療できる可能性もあり、アレルゲンとの接触を断つ、というアレルギー疾患における指導原則は食物アレルギーに関してはあてはまらないのかもしれない」。当時すでに、免疫学における経口免疫寛容の概念は100年の時を経て確立したものであったが、筆者のこの論文に対して、安易に食べることを推奨していて危険である、あちこちで事故が起きる原因になっている、と多くの批判を受けた。しかし、今、あの論文の中で思い描いた概念体系は正しかったと自信を持って言うことができる状況になってきた。

     早くに古い概念を捨てて謙虚に新しい事実を見つめ、食物アレルギーを巡る概念の正しいパラダイムシフトを遂行して、基本的な理論を整理し、新しい対応方法を構築する必要がある。


contents

食物アレルギーのパラダイムシフト

第1章 食物アレルギーの発症をめぐるパラダイムシフト

1.経口免疫寛容
2.経皮感作
3.新たな食物アレルギー予防ストラテジー

プライマリ・ケアの現場への提言@

第2章 食物アレルギーの実態

1.食物アレルギーの疫学
2.食物アレルギーの症状
3.アナフィラキシー
4.意外な原因食物
5.常識の嘘

プライマリ・ケアの現場への提言A

第3章 食物アレルギーの診断

1.問 診
2.特異的IgE測定
3.皮膚テスト
4.食物経口負荷試験

プライマリ・ケアの現場への提言B

第4章 食物アレルギーの治療

1.除去食
2.皮膚バリア機能の改善
3.急性症状に対する対応
4.アナフィラキシーの対応
5.経口免疫療法

プライマリ・ケアの現場への提言C

第5章 食物アレルギーのこれから

1.「とりあえずやめておく」はやめる
2.とにかく皮膚を治す
3.ちょっと食べてみる
4.しかし、食べることは危険である
5.専門医療機関で経口免疫療法を

プライマリ・ケアの現場への提言D

【用語解説】